◆ 高澄・母氏不得姓 ◆ 広寧王孝珩 ◆ 安徳王延宗 ◆ 河間王孝琬 ◆ 河南王孝瑜 ◆ 漁陽王紹信 ◆ 鄭妃 ◆ |
高長恭の周囲を取り巻く人々1 親兄弟 |
4.安徳王延宗(あんとくおう えんそう)
高澄の五男で、長恭のすぐ下の弟。母は陳氏で、もとは魏の広陽王の妓。
544年(東魏・武定二年)生まれ。
妃は李騫りけんの娘。李騫りけんは文宣帝の皇后・李祖娥りそがの父・李希宗りきそうの兄弟。
幼い頃は文宣帝のもとで育てられる。
北周が北斉に攻め入ってきたとき、旗色が悪くなったとたんに逃げ出そうとした後主を押しとどめ、北斉の副都である晋陽での徹底抗戦を主張した。しかし後主は延宗に晋陽の守城を任せると、鄴ぎょうに逃げ帰ってしまう。
残った延宗は城内の将兵に推されて即位する。そして一度は城内に攻め入った北周軍を壊滅させ、北周の武帝を追い詰めるが、ひそかに血路を開いた武帝を逃してしまう。それを知らずに勝利の美酒に酔った北斉軍は、翌朝、北周軍の再度の侵入を許し、晋陽は陥落する。
城下の民家に隠れていた延宗は捕らわれるが、武帝は下馬し、北斉の天子として延宗を迎えた。北斉が滅んだのはその数ヵ月後である。
北周の都・長安に連行された延宗は自殺を図るが、召使に見つかり、果たせなかった。高氏が謀反を図ったとでっち上げられると、刑を受けることをよしとせず、椒で口をふさぎ、自殺する。遺体は翌年李妃のもとに送られる。
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アツイ男・延宗くんです。実は長恭サマより好きだったりするんですが(^^)。子供の頃は生意気で腕白でちょっと手におえなかったけれど、大成していいヤツになった典型タイプ。喜怒哀楽が激しいところもまたいいです。少年漫画の主人公のよう。
文宣帝にかわいがられていたため、妃は文宣帝の皇后の従妹をもらったという、恵まれた人物でもあります。
兄の孝琬こうえん、長恭が殺されると、それに憤り、泣くなど、兄弟思いでもある。正史にはでてこないが、蘭陵王碑に刻まれている延宗の詩は、涙を誘わずにいられない。
最期に椒で口を塞いで自殺するところなど、すさまじいですよね。椒はそんなに実の大きいものではありませんから、どんなにたくさん飲んだところで、本能的に生きようとしてしまったら、苦しくても飲み込めてしまったり、吐き出したりしてしまいます。死ぬという決意がよほど強くなければ、椒で気道を塞いで死ぬのは難しいでしょう。それに恐らく、一度目の自殺の失敗の時に刃物は取上げられ、四六時中監視の目が光っていたでしょうから、そこでまかりまちがって蘇生されないように死に至るのも大変なはず。延宗の意志の強さと絶望感がよく伝わってきます。(蘇生されなかったのは温情かもしれませんが)
あ、チビデブちゃんなのはけっこう目を瞑りたい事実だったりします、さいら的に(笑)。
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